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ドコゾノガラスさん (92l4v480)2024/3/20 13:30 (No.1112754)削除高身長彼女らしきモノ(前編)
うちの子・慧と渚による短編です。
どうも、唐突にこういうのが書きたくなってしまったドコゾノガラスと申します。駄文・微ホラーですのでお暇でお暇でしょうがない方へおすすめです。
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ある3月の夕暮れ時、俺は働いているケーキ屋さんから住んでいる館への帰路を歩いていた。
「寒い…もう春だろ、なんでこんな寒いんだよ…日本全土沖縄を見習えよ…でも夏は北海道を見習ってくれ、頼むから。」
我ながら渚並の無茶振りだ。
「ぽぽぽぽぽぽぽ」
は?
「ぽぽぽぽぽぽぽ」
…はぁ?
数十m先に、誰か居る。そして多分変質者だ。背筋が凍るってこんな感覚なのか、振り向きたいのに振り向けない。
とりあえず、館までダッシュしよう。そして今日は渚の部屋に泊まろう。あいつなら許してくれるだろう。
「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ」
なんか増えてないか?そして心なしか近づいてきている気がする。
「あ、館…」
良かった、館が見えてきた。もうまっすぐ走って左を向いて中にさえ入れば安全だ。
「ぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽぽ」
…でもそう上手くは行かないらしい、声はすぐ後ろだ。そして影からして、相手は多分めちゃくちゃデカい長髪の人だ。2mは超えている。
あれ、なんだかどこかで読んだような。なんか苦手なものがあったような。整髪料だっけ?いやなんでそれが出てくるんだ、口裂け女かよ。
このピンチでぐるぐる考えても埒が明かないので、とりあえず目をきつく瞑ってやり過ごそうと試みる。
数時間も経っただろうか、俺は恐らく寝落ちしてしまった。こんな状況でも寝られる自分に感心してしまう…いや、恐怖で気絶でもしたんだろう、きっと。
とにかくなんで寝落ちしたのが分かったかって言うと、館の見慣れた天井が目に入ったからだ。だがこの隣の部屋から漂う明るさと警告音は俺の部屋のものではない。ここは九割九分渚の部屋だろう、あいつが珍しく外に出て俺を発見してくれたのだろうか…いや、そもそも全ては悪夢に過ぎなかったのかもしれない。そう願いたい。
「ああ慧、起きたなら出ていきな。」
あれ、なんかいつもより冷たいぞ。明らかに怪しい仕事をしている時でもこんなにそっけなくされた事は初めてだ。
「彼女さん居るなら私も遠慮するから大丈夫だよ…たまに家事の事相談しに行くかもしれないけど。」
どういうことだ、俺に彼女なんて居ないぞ?もちろん作った事もない。渚は度重なる徹夜で混乱してしまったのだろうか。
「あのなぁ渚…お前、少しは寝た方が良いぞ?お前の世話で忙しい俺に彼女なんて居ないに決まってるだろ、居たとしても放って置かれすぎてとっくに別れてるだろ。」
「え、でも昨日の夜背がめちゃくちゃ高い女の人が部屋の合鍵持ってないからってこの部屋に慧を連れて来たんだけど…」
あれ、なんだかおかしいぞ。
「渚、そいつどんな格好してた?」
「そいつって、知り合いじゃないの…?まぁ白いワンピースに白い帽子、黒くて長い髪に白いヒールで顔はあんまり見えなかったよ。でも本当に背が高いから一瞬妖怪の類かと思っちゃったよ…あ、いや、失礼だったらごめん!ただ本当に背が高かったって事で…2m半はあったよ。」
…ああ、なるほど。
大体を悟った俺は決意した。しばらくは渚の部屋に泊まらせて貰おう。
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ド下手な文章失礼致しました、近々勝手に後編も出させてもらおうかと思っています。